世界的に見ても珍しい樹氷
宮城県と山形県にまたがる東北の秀峰「蔵王」連峰は、世界的に見ても数少ない「樹氷」を鑑賞できるスポット。
「樹氷」とはアオモリトドマツに雪と氷が張り付いてできたもので、樹氷ができる条件としては大きく4つあります。
①アオモリトドマツが自生しているところ
②雪が適度に降るところ(降りすぎるとアオモリトドマツが自生できないため)
③山の西斜面であること
④冬型の気圧配置で強い西風が吹くこと
このように、特別な環境と気象条件が必要なため、限られた場所でしか見ることができないのです。
国内では蔵王の他に、青森県八甲田、秋田県の八幡平や森吉山の3か所でしか確認されていないと言われ、樹氷が立ち連なる「樹氷原」は世界的に見ても珍しい、自然が作り出す美しい雄大な景色です。
例年12月頃からできはじめる樹氷は、寒さが厳しくなるにつれどんどん成長し、最盛期を迎えるのは2月頃。
雪と氷をたっぷりと纏い、独特なカタチへと変化した樹氷は怪物のように見えることから「スノーモンスター」や「アイスモンスター」とも呼ばれます。
混雑せずに、樹氷を間近に鑑賞できるのは宮城県側
この樹氷を蔵王で鑑賞するなら宮城県側のマウンテンフィールド宮城蔵王すみかわスノーパークのツアー「みやぎ蔵王の樹氷めぐり」がおすすめです。
全国的にも有名なのは山形県側の蔵王ロープウェイでの鑑賞ですが、有名ゆえに大勢の観光客で混雑は避けられず、樹氷原に向かうロープウェイは大渋滞になることもしばしば。
一方、宮城県側の「みやぎ蔵王の樹氷めぐり」は完全予約制の雪上車で向かうため、混雑することなくゆったりと樹氷を鑑賞することができます。
また、山形県側の樹氷原はスキー場の一部となっていますが、宮城県側の樹氷原は人の手が加えられていない大自然の中にあるため、より雄大でダイナミックな景色を楽しんでいただけるのです。
「みやぎ蔵王の樹氷めぐり」
では、ここからは「みやぎ蔵王の樹氷めぐり」についてご紹介します。
ツアーを開催しているのは宮城県蔵王町のマウンテンフィールド宮城蔵王「すみかわスノーパーク」。
宮城県内のスキー場では一番の標高1,100mのところに位置し、パウダースノーの雪質が人気のスキー場です。
仙台駅や遠刈田温泉から送迎バス(予約制・有料)でアクセスできるので、雪道運転が心配な方もらくらく安心。
雪上車はスタンダートクラス車両とデラックスクラス車両の2種類がありますが、おすすめはデラックスクラス車両。
デラックスクラス車両は、横向きベンチシートのスタンダートクラス車両とは異なり、進行方向前向きの独立シート車両で、もちろん暖房付き。
ツアー受付もデラックスクラス専用ラウンジで行い、防寒長靴のレンタルサービスをはじめ、車内用ブランケットや使い捨てカイロ、ホットコーヒーサービスなどの嬉しい特典付きです。
ツアーの所要時間は約2時間。
スタート地点から樹氷原まで片道45分の道のりでは、車両専属ガイドによる樹氷の説明を聞くことができます。
樹氷原につくまでにはそれなりの時間がかかりますが、前向き独立シートのデラックスクラス車両であればラクラク。
ゲレンデを滑るスキーヤーやスノーボーダーとすれ違いながらゆったり周りの景色を楽しめます。
雪上車の豪快な走りで標高1,600m付近までたどりつくと、そこが樹氷鑑賞スポット「樹氷原」。
約10分間の見学時間がありますので、雪上車を降りて樹氷のそばまで近づいたり、見上げるほどの高さに成長した樹氷に囲まれながら写真撮影はいかがでしょうか。
樹氷は別名スノーモンスターと呼ばれるだけに、その大きさに誰もがきっと驚くはず。
ちなみに悪天候時はわずか数メートル先も見えない猛吹雪を体験することができます。
それはそれで、普段は体験することができない貴重な経験になるのではないでしょうか。
ただし、視界が非常に悪くなるので、乗ってきた雪上車が見える範囲で行動してください。
国内はもちろん、世界的に見てもなかなか見ることのできない、自然が作り出す神秘の光景「樹氷」を冬のアクティビティでぜひお楽しみください。